HIP-HOP、R&Bなど音楽における歌詞の重要性についてエントリー。最近のX音楽界隈の話題?に珍しく乗ってみたいなと思います。とはいえ個人的な所感だけなので、そこまでのお話ではなく、スルーしてもらっても全然大丈夫です。 今回は日本語ラップについて、ネイティヴな方等から見ておかしな英語表現と、押韻についての話題のようでしたが、そのことについては、そうなんだ程度で正直分かりません。分からないというよりも、私自身が日本語ラップ自体をあまりにも知らないので、言及するにはちょっと門外漢すぎるかな?と思うからです。 いい機会なのでここで白状しておきますと、実は日本語ラップでまともに聴いたことがあるのは、ECDさんとライムスターさんくらいです。ヘッズの皆さんならば、当然聴いているであろうブッダブランドさんとか、スチャダラパーさんとかは、嘘みたいですが、な何と一度も聴いたことがありません。ブルーハーブさんに至っては、曲名は忘れましたが、以前Xでポストされていたスニペットかな?を少し試聴させてもらったことがあるのと、今回の騒ぎで初めてその該当曲を、触りだけですが気になって聴いてみたという有り様です。とんでもなく門外漢すぎますよね。皆様すいません。 私は長くブラックミュージックを聴いていますが、もちろん日本の音楽を聴くこともあります。夢中になった日本の唄い手、アーティストはそこまで多くはありませんが、若い頃は柳ジョージさんや、なぜか門あさ美さんなどはよく聴いていた覚えがあります。また久保田利伸さんは、年齢的には私よりちょっと上の方ですが、同時代感があり、一番のピークの時、全盛期にはよく聴いていました。しかし日本語ラップが出てきた頃(80年代の中後半くらい?)は、もうUSのヒップホップを含む、ブラックミュージックにどっぷりと首まで浸かっていました。ですのでそちら方面を聴く時間そのものが、ほぼほぼ無かったというのが本当のところです。 さて本題の歌詞についてです。私は普段から英語の唄はもちろん、実は日本の唄についてもなのですが、お恥ずかしながら、何と歌詞はあまりしっかりとまでは聴いていません。勿論タイトルがどんな意味を持っているのかとか、どんなことについて唄っているのかは確認しますが、正直言いますとその程度です。しっかり歌詞を聴きながら、噛み締めながらリスニングするなんてことは、英語の唄でも日本語の唄でも滅多にありません。 音楽を聴く時は、まず唄も含めた全体の音(サウンド)と曲調、メロディーを聴きます。歌詞は二の次ということはありませんが、この曲ってどんなこと唄っているのかな?というのは、まず全体の音と曲調を聴いてからで、最初はざっくりしか理解していません。これは日本語の唄でも同じです。演歌でもロックでもポップスでも、最初から歌詞をじっくりと聴いて唄を聴くなんてことはありません。音作りやメロディの気に入った曲に対して、そういえばこの曲って、何について唄っているんだろう?となって、初めて知ろうという気になります。 私が好きな歌詞は、その情景が伝わってくるものです。優れた歌詞は小説や映画と同じで、深い感動を与えてくれると思いますが、日本の唄であればダイレクトに。他言語の唄であれば、歌詞カードやサイトに掲載されたリリックを読んで、それを思い浮かべながら聴くようにしています。味わい深い行為ですよね。 そもそも歌詞というのはとても大事で、音楽の根幹をなすものだということは理解しています。歌詞は作者の深い想いや、メッセージなどが込められていますので重要ですし、けして蔑ろにするつもりなど毛頭ないのですが、重度の音楽フリークでも、中にはこのような不届き者も、稀ですが存在する?という訳です。 最近というかここ20~30年ほどでしょうか?R&Bの世界では歌詞がひどくて、特に逮捕された某ケリーに代表されるように、非常に下ネタが多くてうんざりしています。英語は喋れませんが、長く聴いているので、ヒヤリングでああこれはまた下ネタ全開だな~という程度は分かります。そもそもタイトルがI WANNAとかMAKE LOVEとかめっちゃ多いんですよね笑。しかしながらそれは、テディペンだってマーヴィンだって同じといえば同じな訳ですが、只々メイクラヴだけという訳ではなく、もっと何かこう明らかに威厳や風格を感じさせました。理由として考えられるのは、それらはその音楽が生まれた時代や世相を反映させていた訳で、黒人差別が(今もめちゃくちゃ酷いと思いますが)今よりも更に大きくある中での表現でした。辛い現実を生きる中で、心がほっと休まるような、そういう愛の唄の世界があってもいいんじゃないかという、そんな感じです。 実際例えばマーヴィンの場合などは、全く先行きの読めないベトナム戦争の重い時代背景の中、リリースされたWhat’sがあってのLet’sな訳で、そのバランス感覚がなんとも絶妙です。また80年代のソウルを決定づけたMidnight Loveについても、もちろん性愛についても唄っていますが、どん底から復活したマーヴィンの生きる喜びが溢れている印象でした。 今でも差別は至る所にある訳ですが、ざっくりとした印象では、もう90年代以降のR&Bについては、世相を切るようなラッパーには、ほとんどが相手にされていなかったんじゃないかなと思います。例としてレジェンド級のルーサーでさえ、おいおい何リアルじゃないこと唄っているんだよ!みたいに小馬鹿にされていたりしました。ルーサー好きの私はといえば、おいおいそっちこそ何言っているんだ違うよ!というよりは(そもそも狙っているターゲットが違いすぎる訳なので言われるシンガーが可哀そうなのですが)ストリートでの現実や、白人社会で生きていくことの、大変さを反映しているリアルな感じはなく、スムーズすぎる打ち込み音の上でラブソングを唄うだけでは、若いリスナーの心を捉えることまでは、もうなかなかできない時代なんだよなと感じていました。 ただ80年代 にはDEF JAMのソウル専門OBRのように、古き良きソウルの世界を意識した、気骨あるレーベルもあったりしました。そこでは元ラッパーで骨太な唄を聴かせるTashan(例えばSave The FamilyとかHow Ya Livin’など。家族や社会の矛盾など鋭く風刺した歌詞なども素晴らしいです)や、逆にトロットロに甘いOran Juice Jonesなどが在籍していました。その辺りについてはちょっと例外です。 そのような意味でも歌詞はとても大事で、特に若者に火をつけるという意味では、最重要課題の一つな訳ですが、私のように音楽フリークのわりには、英語でも日本語であっても、そこはそこまでしっかり聴いていないという、ちょっと変わった(ダメな)人間もいるということです。 ラップはストリートからの支持がないと成り立たない音楽ですが、歌詞は何より重要です。そのことは充分すぎるほど理解した上で思いますが、それと同じレベルで音作りや印象的なメロディーやフックなど、楽曲そのものの良さがまずドン!とないとなと思います。世界中のコアなヘッズを唸らせてきた楽曲というのは、必ずその両方(深みがあって且つニヤリとさせるような歌詞と曲そのものの良さ)が担保されています。更にマスにもアピールするためには、分かりやすい歌詞と分かりやすいメロディ、フックが必要かなと思いますが、そうなると今度は、そのためにどの程度セルアウトするのか?といった尺度が出てきますので、実際は難しいんだろうなと思います。アーティストによっては、レーベルの意向等によって、そこまでやる?っていうほどセルアウトして、その後に自分のやりたいことを実現した、渋い作品を出すというパターンもあるかと思いますので、業界で生きていくということと、アーティスティックな面を両立させるというのは、本当にバランスが難しいんだなと思います。 個人的にHIP-HOPを聴いていて悔しいなと思うのが、歌詞が物凄く深くて、しかし曲やメロディ、フックについては、そこまで強くはアピールしてこない楽曲やラッパーについてです。英語の勉強不足により、残念ながら歌詞が一発では頭に入ってこないので、その本当の良さが分かるには、随分と時間が掛かってしまったり、結局はよく分からなかったという部分。物凄く凝った深いリリックを、しっかりと押韻させながら聴かせるけれど、メロディそのものにはそこまでインパクトがない曲や、またリリカルで知性的なラッパーの本質的な魅力については、コアなヘッズの方のみが、心底堪能できる特別な領域なんじゃないかという認識です。ですので英語もろくに喋れない私は、本当の良さまでは理解できないんだよなと感じています。ここはすごくすごく残念で悔しい部分です(ザブングルじゃないですが悔しいです!)。 ※ ※ ※ 今回は所感だけですが、このような議論については、みんなそれだけ深くこの音楽を愛しているんだなということです。それと、ブラックミュージック(=広義のアメリカの黒人音楽)は大昔からその成り立ちが特別すぎる音楽であるということです。ミシシッピーバーニングや、数年前でいうとグリーンブックという映画がありましたが、永遠と続くような人種差別のとんでもなさが、よく分かるように描かれています。私は元々小中学校の頃に、キング牧師の演説を聞いたり、TVのルーツシリーズ等を観たりして深く感動し、悲しすぎる奴隷の歴史と成り立ちを持つ、この特殊すぎる文化にのめり込んでしまったというのが経緯ですが、音楽を深く聴き込むようになって、更にその重みを感じています。 また姉が刑事スタスキー&ハッチの大ファンで、一緒に観ていた私は、そこに出てくる情報屋アントニオ・ファーガスなんかが好きだったというのもあります(ファッションも好きでした笑)。全くの日本人である自分が、どうしてこうブラックミュージックに魅了されてしまったのかというのは、振り返ればルーツ的には上記の影響なのですが、まさかずっと聴き続けることになるなんて、その当時は思いませんでした。 日本人のように大多数が非黒人の方々については、アメリカ大陸における黒人の歴史に興味や理解がある方だと、ブラックミュージックの本質と特殊性、そしてその魅力がより深く理解できるんじゃないかなと思います。屈折した芸術というか、イビツでILLなんだけど、深い悲しみと同時に、生きる勇気を与えてくれる強い音楽。本当に魅力的で、他ジャンルでは感じることのできない高揚感みたいなものがあります。 このようなことは、私のXで繋がっている音楽関係の方については、皆さん釈迦に説法クラスの方ばかりなのですが、例えば我が家の子どもたち。父親が聴いている音楽がブラックミュージックのみということは理解しています。ですがそこまで深い音楽とは、全く思われていないです笑。何しろ今の世代の聴き手の環境といえば、情報が溢れすぎており、音楽に新しいも古いもないですし、旧譜だろうが、鬼レア盤だろうが何でも聴けます。また次から次へと新譜が出てきます。過去の膨大な音源を、順を追って聴いていくという(面倒な?)ことや、フィジカル(レコードやCD、カセット等)で集めて、そして背景を感じながら、フルアルを一枚じっくりと聴いていくなんてことも、全体としては少なくなってきたんだろうなと思います。 それとこれはずっと不思議に思っていることなのですが、黒人の方はどういう訳か、ほとんどゼロベースに近い状況から、生命力漲る魅力ある音楽を作り出すというか、既存の楽器や機材を、誰もが想定しないような使い方や解釈によって、オリジナリティ溢れる音楽を作り出しちゃうんですよね。例えばダブや808の使い方やスレンテンや、それこそ革命的なスクラッチとか。あスレンテンは使い方が想定されていたかな?でもそれってめちゃくちゃ特殊な能力です。このことについては、誰か博識な方に研究分析してもらって、その原因を探ってもらいたいほど気になっている部分です。もしかして人種的な、いや遺伝子レベルで違いがあるのかどうか。確かに黒人の方特有の、地響きのするような太い唄声なんかは、日本人とは遺伝子からして違うんだろうなと思いますし、アメリカという特殊な国や、天候や食生活、その土壌なども、もしかして影響しているものなのかもしれません? ブラックミュージックの楽しみ方は色々あって、聴く・ライブに参加する・探す・集める・飾る・眺める・音質を追求する・ミックスさせて楽しむ等々。係わる一人一人によって、違う個性があって良いものかと思います。しかしながら複雑で深い歴史がある文化圏の音楽ですので、ここは子どもたちに伝えていきたいなと思っています。それと、私たち日本人はどちらかといえば、何でも器用なほうなので、本場の黒人の方々からみても、日本人って凄いな!なんだよこんな大きく発展した音楽シーンがあるのか!と思われるように、独自性を加えて発展させていくのが、カッコいいんじゃないかなと思います。そう、機材でいうかつての808やスレンテンのように。まとまっておりませんがそのように感じている昨今です。
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