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FiiO Q5s with AM2A (AM1Mod)

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FiiO Q5s with AM2A (AM1Mod)

THXの開発能力を見せつけた傑作モジュールのAM3D。最初はパッと明るくなるような音に物凄くインパクトがあり、以前はかなり気に入って使用していました。特にPCに直刺しした時の音。これがまるで目が覚めるような音で、JRMCのアップサンプリング上限値についても余裕でクリアー。これぞ今どきのハイレゾ!というような音作りで、切れまくる音質に魅了されていました。

しかしながら聴き込むうちに、中高域に何かギラっとするような成分を感じるようになりはじめました。音全体にちょっと落ち着きがないというか、若干腰高な感じで、他の(古めの)ポタアンで聴ける穏やかな音とは違い、聴けば聴くほど今度は違和感を感じるように。AM3Dの音は例えるならば、本来の録音成分だけでなく、まるで古い録音が現代的な録音作品にリマスターされたような感じなのです。もちろんそれはそれで個性的ですし、フレッシュな感覚はあるものの、聴いていて飽きてくるというか、何かこう深みに欠けるような感じが出てきました。
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そこで長く気になっていたモジュールで、マニア筋から評判の良いAM2Aを追加導入。これは元々メーカーのラインナップに予定されていたモノではありません。なんでも海外のあるマニアが既存のモジュールを活用し、もっと音質をよくしたい!ということで、AM1MODという名称を付けて、勝手にカスタマイズされたものがベースになっています。このAM1MODは音にシビアなマニアにあまりにも評判が良く、FiiO自身がその噂を聞きつけることに。そうかそんなに評判がいいのならば、よし正式に作ろうじゃないかという、FiiO社のとんでもなくフットワークの軽い部分からラインナップに追加されたものです(著名レビュアーが音作りに参加した経緯とか、こういう類の逸話は結構好きです)。
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メインとなる仕様はオペアンプがAD8620で、バッファ段にはAD8397ARDZが使われています。AD社の8620はOPA627などと比べるとちょい地味な存在?ですが、昔からずっと評価が高いんですよね。

音質について。AM2Aは他のモジュールと系統が違うというか、いわゆるFiiO的な?音作りとはまるで違う感じです。透明感はAM3Dよりあり、逆に出力についてはさすがにAM5よりは少ないものの、余力は充分。16~50Ω程度であれば全く苦にせず問題ありません。傾向としては繊細な音で且つ中高域がとても伸びやか。この中高域に程よく艶と潤いを感じさせる音は、Soul系の唄モノや古いJazzを中心に聴く私にとって、とてものことに魅力的です。低域についてはタイトでキレを感じさせるもの。ドンドン、ドスンドスンといった表現の量感ではなく、上手く言えませんが、トントン、ビシバシと表現できるような感覚です。全くヘビー級などではありませんが、個人的には低音に不足感はありません。

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Maze feat. Kevon Edmonds - "Never Let You Down" (2009)

After 7の名リードKevonがMazeの世界に溶け込んだ最高の一曲。確かな演奏と、Babyface以上にDavid Fosterを魅了した特別なシンガーKevonの魅力が全開。AM2AとPinnacle P1の組み合わせで聴けば、一つ一つのフレーズの確かさと、寄り添うような最高のバッキングが光り輝いて聴こえてきます。オーソドックスながら奥深いソウル・ミュージックの魅力が表現され、時間を忘れてうっとりと聴き惚れてしまいます。

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Keith Jarrett - My Wild Irish Rose 1999)

御大の傑作アルバムからこの曲を。トラッドですが、ピアノ一本だけでここまで情景を表現できるのは、やはりKeithならでは。AM2AとT8iE(初代)の組み合わせで聴けば、涙が流れるようなメロディーというか、一音一音の隙間に独特の陰影をより感じさせ、じっと目を閉じて聴いてしまいます。T8iEもP1同様の1DDですが、強弱を付けたKeithのタッチが聴き手の心にしっかりと伝わってきて、音の過不足を全く感じさせません。
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全体的な印象としては、例えるならば蒸留水。岩清水。中高域が充実した、クリ-ンで且つとても自然な音。解像度という点からも不足感はありません。単体DAPで言えば、古いものではPlenue S、新しいものではSE180(SEM4)などと同系統で括れるかと思います。

ヘッドホンでは高インピーダンスのHD 650(300Ω)でも鳴らすことができますが、さすがにそこまでのパワー感はありません。逆に中インピーダンスのP1やKlipsch X10(共に50Ω)。この二機種等ならばちょうど良い塩梅。ピッタリというか、高音から低音までシックリ感が半端ないです。特にざわざわ感のあるカフェなどでリスニングしていると、こんな場所でこんな美しい音を聴けるなんて、なんて凄いことなんだろう..と聴くたびに感動してしまいます。3.5mmが1系統しかない、小さな小さなモジュールなのですが、この美音で満たされた世界観は素晴らしいの一言です。


※ ※ ※


結局このAM2Aを入手してからは、それまで気に入っていたAM3Dを手放してしまいました。AM3Dも確かによく出来たモジュールでしたが、AM2Aと比べてしまうと、やはり分が悪いです。ハイフィデリティー志向といいますか、所謂FiiO的な音作りの範疇であるAM3Dに対し、ポータブルオーディオを知り尽くし、概念にとらわれず音の良し悪しのみを聴き分けていくマニア中のマニアが、元の音を考案したAM2A(AM1MOD)については、異端ですがある意味別格のモジュールかと思います。発売された時期的には、本来DAPのX7に合わせて使うことを想定されたものなのかもしれませんが、かつてのフラグシップである(音質全振り仕様でX7を超えていくポータブルアンプの)Q5sとの組み合わせは、意外ですが至高かと感じています。旭化成AK4493DAC搭載のQ5sは素性が良く、ほとんど想定がされていなかったAM2Aとの合体で更なる本領を発揮。最近メインで使用している弩級DAPのWM1Zと比較したとしても、ああ今日はこちらで聴きたいなあと思わせることができる魅力を秘めています。
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おそらく今では、完全ディスコン同士であるQ5s+AM2Aで使っている方などは、ほとんどいないかと思いますが、これは見た目以上に侮れないシステムです。ポータブルオーディオの音作りについては古い、新しい、また若い方向け、ベテランの方向けといったものがあるかと思いますので一概には言えませんが、この美音で満たされた世界は、誰が聴いても違いを感じていただけるのではないかと思います。SoulやJazzを聴く方には特に合うかと思います。チャンスがあれば、(特にAM3Dオーナーの方には)ぜひ一度試していただきたい組み合わせの一つです。


試聴環境:
iPhone SE3 or JRMC - FiiO Q5s - AM2A - Mee Audio Pinnacle P1
iPhone SE3 or JRMC - FiiO Q5s - AM2A - Astell&Kern AK T8iE
iPhone SE3 or JRMC - FiiO Q5s - AM2A - Klipsch X10 mmcx Mod
iPhone SE3 or JRMC - FiiO Q5s - AM2A - HD 650

by olskooljam | 2023-02-18 16:05 | Audio
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