![]() さて本題です。最近も気になるポータブルオーディオがリリースされてはいるようです。しかしながらこの暑さと感染防止の観点により、お気に入りの専門店に出向き、そこで興味のある機種をジックリと試聴してから購入という訳にはいかない状況です。 そのような訳で今は手持ちの機器を色々と組み合わせながら、自分の好みの音を探っているという状態なのですが、今一番活躍しているのが写真の「FiiO Q5s」。入手したのは数か月前。Webのどこをみても評判が良く、また個人的には同社の製品を少なからず所有していることもあり、ほぼ未試聴という状況での購入となりました。基本スペックは以下の通りです。 概要 ・AK4493EQ DACチップを左右独立構成で2基搭載し低ノイズ・低歪と高出力を両立 ・対応フォーマット:PCM 32bit/768kHzまで、DSD11.2MHzのネイティブ再生に対応 ・高音質パーツを採用した完全バランス回路設計 ・3.5mmシングルエンド出力、2.5mmおよび4.4mmのバランス出力を搭載する アンプモジュール「AM3E」を標準搭載(with AM3Eモデル) ・AAC/SBC/apt X/apt X HD/LDAC/HWA(LHDC)といった、Bluetoothの主要高音質ワイヤレスオーディオコーデック全てに対応。(Bluetooth Ver 5.0) 使い方は様々ですが、私はiPhoneやノートPCに繋いで使う場面が多いです。後者で使用する場合については、専用のアプリで制御することにより、接続中のバッテリー充電機能をカットできますので、安心して使うことができます。 使用ソフトは安定のJ River Media Center。JRMCは768kHzまでアップサンプリング再生できる驚異的な能力を持っていますが、私は機能オフ(オリジナル)で聴くようにしています。 ![]() 私のQ5sはアンプモジュールとして写真の「AM3E」が付属していました。これは通常の3.5mmと2.5mmバランスに加え、4.4mmバランス端子まで搭載したオールマイティな仕様。音も全域過不足なく出てきて且つパワフル。アナログ的な濃厚さを感じさせる出音は好みでもあり、これはこれで相当に良く出来ていると思います。 正直充分すぎるほどの高音質アンプですので、これだけ聴いていれば何も不満が思いつかないレベルの製品かと思います。 ![]() 私はAM3Eに加えて、現在はこちらも評判が良い「AM3D」に変えて使用しています。こちらは3.5mmと4.4mmバランス端子のみという、言わば現在のスタンダード的な構成。 音質傾向は当然異なります。こちらは例えるならば蒸留水的な、非常に純度の高いピュアな音。特に4.4mmのほうは透明感が尋常じゃなく、何かその世界に引き込まれてしまうな深みを感じさせます。 ![]() Avant - Can We Fall In Love (2020) 真下でレビューしたアヴァーントの最新作。元々メジャーR&Bのプロダクションの良し悪しについては、相応の作り込みの時間が必要です。またいかにして大手のスタジオや使用機材に、制作資金をつぎ込むことができるのかどうか。これは打ち込みが一般化した80年代になってからが特に顕著な現象ですが、当然ツアーもありますので、そこに費やすことのできる時間も影響力大です。しかしこと音質については、そこに尽きるというのが私の印象です。 反対にインディー系ですと、極端なまでの唱ぢからを有しているどうか。もしくはチープながら誰も思いつかないようなアイデアを感じさせるのか。それらがないようであれば、オールドスクール史を深く理解し、且つその様式美に忠実で発展的であるのかどうか。そういう視点でみています。 脱線しましたが、この最新作をQ5s with AM3Dに合わせてみました。イヤホンは主にMee Audio Pinnacle P-1(バランス接続)や、写真のSatolex Tumuri(アンバランス接続)等を使用しています。 タイトル曲では目の前でさっと展開するというか、空間の広がりというよりは音の立体感。Avantの特徴である高音の切れはエッジを感じさせながら、それでいてサ行が刺さらないという見事なバランス。 低音は量感があり且つ締まる、そして切れる。まるでスタジオマスターを聴いているかのよう。圧巻の再生音そしてクオリティです。この緻密さには完璧という言葉を捧げたくなります。 旭化成のDACについては、正直今まではあまり好みではなかったのですが、AK4493はいいですね。いやこれがAM3Dの影響でしょうか。6種あるデジタルフィルターもまたいじり甲斐があります。しかしAvant。聴けば聴くほど本当に良いシンガーです。 ![]() 巨匠の19年作品。その昔ブレードランナーのサントラでは、大変に痛い出費をされた方が多いと思いますが、あれは当然私もやられました。あのテーマをしっかり家で聴くことができたら、そんな気持ちを代弁するかのように、この作品では"Love Theme"が再録されています。新アレンジ版ですが、シンプルな仕上がりは気品と、そして崇高なまでの美しさを感じさせてくれます。 AM3Dでは透明感は当然あるのですが、空間表現がイマイチという意外な印象。合わない訳はない音源のはずですが、音が近すぎるというか、勿論音が悪い訳ではないのですが、なにかこう突き抜けた部分がなく、こじんまりとしてしまいます。 ここで物は試しとAM3Eに繋ぎ変えて聴くと、こちらは空間表現が違います。目の前というより、その随分と先のほうまで広がっていく感覚。主として低音の出方が変わり、AM3Dに比べると緩やかでリッチな雰囲気が出てきます。この表現はなかなかに魅力的かと思います。 ただし透明感についてはAM3Eは一歩後退します。音の雑味というほどでもないですが、ピュアな出音ではやはりAM3Dに軍配が上がります。逆にリスニング的な空間の広がりや、低音の雄大さについてはAM3Eが上です。比べなければ分からなかったのですが、私にとって思わぬ結果でありそれが率直な印象でした。 ![]() Bill Evans -Sunday At The Village Vanguard (1961) 最近はWaltzよりもよく聴くのがこちらの定番。シブい選曲と渋いジャケット。言うことのない一枚ですが、これがAM3Dと相性抜群。気持ち悪いほどリアルで生っぽい音です。ライブ盤ですので、どちらかといえば空間表現の苦手なというか、タイト表現のAM3Dは合わないと思ったのですが、聴いてみると印象が違いました。 まず空間的な広がりというか残響そのものは、ライブ音源ですので元より録音され封入されています。ですのでそのような音源を上手く再生させるには、表現力が多彩な機器というよりも、どちらかといえばスタジオ的な残響が少なく、低音がタイトに再生されるもので聴くほうが理にかなっています。 逆にそれを更にリバーブの強い機器で再生すれば、意図しなかったはずの付帯音が増えて聴こえてしまうということになります。リバーブについては好みの差もありますが、多くなり過ぎることもまた良し悪しであり、そうなると全体の音の切れも鈍って聴こえてくるということなのでしょう。 そのような意味ではAM3Dについては、ミキサーが意図した録音を極めて正確に再生させるためだけに作られたかのようなアンプ・モジュールです。対してAM3Eは、リスナーが音楽から臨場感を感じてもらいながら楽しめるように、良い意味での演出(味付け)がされているのだと思います。 ※ ※ ※ 最近はWM1Aを単体で使う機会が多かったのですが、ポタアンはやはりいいですね。拡張性があり多目的に活用できるフォーマットですので、これからの製品化にもまだまだ期待が持てるかと思います。 早く社会が正常に近づき、そして自由に試聴や買い物ができるようになってもらいたいものです。
by olskooljam
| 2020-08-10 17:08
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