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TR-17hpのアップデートとBTパネル実装化について

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以前も一度取り上げましたが、Analog Squared Paperさん(通称:A2Pさん)トコのポータブルヘッドホンアンプTR17hp。今回大幅なアップデートがありましたので、簡易ですが再レビューさせていただこうと思います。

先々月ですが、名古屋でポータブルオーディオオフ会(NPAO)が開催されまして、私も少しの時間ですが、参加ができました。NPAOは東海地区を中心とした、ポータブルオーディオ好きの有志の皆さんにより、企画されているイベントの一つで、私は二回目の参加です。前回もそうでしたが、今回メーカーの方が多く参加されており、制作秘話などのお話をお聞きするだけでも楽しいイベントでしたが、そこにA2Pさんもブースを出されていました。17hpは入手してから一年近くですが、そのアップデート情報については、そこまで多くのことは分かっておりませんでした。そこでまたお会いした時にでも色々お聞きできればな~と考えていたので、NPAOは大変良い機会となりました(運営の皆様リスペクト!感謝です)。

まず今回の変更点は2点とのことでした。一つ目ですが、出力に係る低ノイズ化についてです。私が購入した一年程前のTR17hpは、音自体はバツグンに良いものの、特にIEMを繋いだ時などに、バックグラウンドでサーというホワイトノイズが感じられました。高インピーダンスのヘッドホン(例えばHD 650)では全く気にならないのですが、17hpはその高出力ゆえに、わずかに聞こえてくる残留ノイズが、弱点とはいえないものの、IEM使いのリスナーには少しだけ気になる部分ではありました。

それともう1点は17hpのBT化(パネル丸ごと交換によるBT専用パネル化)についてです。こちらは以前から取り組まれていたとのことで、実際に販売もされていたので、気になっていたオプションの一つです。ただ以前試聴した際(半年ほど前でしょうか)は、まだ有線との小さくはない差が感じられましたので、見送りしていた機能でした(今回はそのヴァージョンアップ版)。

そこでNPAOにて実際に試聴しまして、どちらも効果的だと判断しましたので、その場でA2Pさんに、後日換装ならびに調整を依頼することをお伝えしたというのが経緯です。しかしこういう痒い所に手が届く部分。ユーザーファーストというか、A2Pさんの顧客を大事にするという対応が、とても誠実で素晴らしいなと思う部分ですね。小回りという部分は、ホント出来そうでなかなかできないことかと思います。
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そして後日正式にご依頼。2点共に調整されて仕上がってきたものがコチラです。見た目的には、上部のパネルがBT専用のモノに換装されており、本体色(艶消しシルバー)といい具合にマッチングしています。重量感については、オリジナル17hpとさほど大きく変わっていない印象です。それとBTパネルには、A2PさんのFOXイラストが入っていました。あまり目立たないようなというか、控えめな位置にさりげなく、といったところがいかにもA2Pさんのお人柄らしくて、とっても素敵で気に入りました。

まず今回の低ノイズ化について、変更調整された肝となる箇所は、初段の電源をツェナダイオード化するということだったそうです。実際に現在入手できる現行品については、既に対策済みのものが流通しているそうですが、私のものはまだでした。その為、IEMを繋いだ時などの(わずかな)ホワイトノイズ。本当にわずかなのですが、これがどうしても鑑賞を妨げるとまではいきませんが、気になっていた部分ではありました。ただ気になるのは、そこを対策すると、逆に音ヤセするのではないか?という懸念。オーディオあるあるですが、そこはちょっと注視していました。
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まずは手持ちのHD650を繋いでみました。ノイズ対策前であっても、元々HD650ではノイズレスではありましたが、更に背景が黒くなった印象です。私の耳では全くの無音状態になりました。音楽が漆黒の無音から立ち上がる様。これが息をのむように素晴らしく、その世界に入り込んでしまいます。やはり背景が黒いとその分だけ、余計に音楽がよく聴こえてくるように感じます。今度はIEMですが、こちらも手持ちの機種(Pinnacle P1やT8iEなど)を繋いでみましたが、明らかにホワイトノイズが(結構ごっそりと)減っています。

ただ特別に高感度のIEM(手持ちでいうとWestoneのUm Pro30:何と124dB)を繋ぐと、背景にまだわずかにサー音が聞こえますが、それは他の高出力ポタアンでも同様ですので、そこまで大きな問題ではありません。良質なT型インピーダンスプラグなどを組み合わせることで、充分17hpの良さを堪能できます。ちょい懸念していた音ヤセみたいな感じも皆無です。総じて大出力と低ノイズ化を同居させた手腕はさすがで、この改良は見事としかいいようがありません。
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次にBTの機能について。BT初期型は昨年だったかな?発売前のプロトタイプを聞かせていただいたことがあります。その時は確かに便利なものの、音質的にはまだ有線との差が感じられて、そこまで魅力的なプロダクトとは映りませんでした。ところが今回お聞きすると「今回は新ヴァージョンです。DACについてはシーラスロジックを採用しました。音質も向上していると思います。またBTも特別に電波ノイズが入りにくい措置をしてあります。」とのこと。そこで試聴したところ、一発で前回との違いが分かり、機能も問題ありません。iPhone側のBTをオンにしてから、17hpの天面にある小さなボタンを長押しするだけです。一発で認識しましたし、艶消しブラックのFOXパネルも見た目サイコーです。

実際に導入後何回も聴きましたが、比べれば確かに有線との差はあるものの、普通のAACのはずですが、圧縮感みたいなものが感じられず、かなり良好な出音です。音の削られ感がありません。これは単体でサブスクなどのリスニングであれば、充分楽しめる仕様だなと思いました。良好というか、有線同様の音の良さと、聴き心地の良さです。これでLDAC対応になったら、もしかしてもう線なんていらないかも?それくらい良い仕上がりだと思いました。
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Branford Marsalisの1987年のアルバム「Renaissance」を合わせてみました。ソウルもそうといえばそうなのですが、この時期のスタジオ録音は、音のバランスがどういう訳か高音寄りです。根幹となる大切な中低域が薄くて、これでは音楽の本質を見極めるのが難しいとまで思うほどですが、この作品もまた同様です。全体に軽いイメージです。しかしラストに収められたカヴァーSt. Thomas。これだけはちょっと趣向が違っていて、物凄くライブ感のある一発録り。オーバーダブみたいなものは無しです。この曲は17hpのSNがよく背景が静かながらも、出てほしいところはしっかりと出るという部分がぴったりマッチしていて、何度もリピートしてしまいます。
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80年代繋がり?で御大Ennio Morriconeの名盤「Once Upon A Time In America」も聴いてみました。この映画自体、私世代ではNo.1に選出されることが多い、文句なしといって良い一枚ですが、17hpのスケール感はこういうクラシックこそで本領発揮しますね。鳴らしにくいHD650を、ここまで優雅に鳴らすポタアンが存在するというのが驚きです。17hpを入手されたらぜひ聴いていただきたい一枚ですね。

あとは写っていますように、今回17hp専用の革ケースも導入しました。2種あったのですがプレーンを選択。厚みのある本革の完全に手作り品です。シワや傷の感じがとても自然で、味わい深いです。やはり専用品は違いますね。これで外出の際も気兼ねなく持ち出せるようになりましたので、専門店の視聴の時や、ポタフェスの際などにも、17hpを持っていきたいなと思います。総じて今回の2つのアップデート(と専用革ケース)は、17hpオーナーとしての所有満足度が上がり、更なる愛着が湧きました。

ポータブルオーディオについては、ここ10~15年ほどの間に、あっという間に世界的なブームとなっています。携帯電話がこれだけ発展したことにより、いつでもどこでもサブスクで、好きな音楽が好きなだけ楽しめるようになったことが、要因の一つだと思いますが、この現象はおそらく当分続くんだろうなと思います。

そしてポータブルオーディオでは、ここ日本だけではなく、海外も含めまして、大変多くのガレージメーカーが存在します。そして日本と中国と韓国は勿論のこと、香港や台湾にも多くのメーカーがあります。A2Pさんについては完全日本のメーカーですが、その製品群の素晴らしさに比して、知名度という点では正直あまりありません(あまりないというか、最初からそこまで大きく展開される気がそもそもないといいますか..笑)。ひたすらに質実剛健なスタンスで、誠実に良いものだけを、分かる顧客の皆さんだけに届けていくという、そんな感じのメーカーさんです。
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また一つ一つが完全手作りです。そのため納期にはそれ相応の時間を要します。また仕上がりについても、今回のように常に最新のアイデアが反映されたり、組み込まれたりしていますので、同じ製品であっても、納期のタイミングによっては、採用されるパーツが違ったり、細かい部分で改良されていたりします。その辺りがいかにも手作りたる所以な訳ですが、そこも含めまして、拘りのオーディオファイルの方にはもう堪らない?訳なのでしょうね(なのです)。

ですので、その辺りをしっかり理解しておかないと、製品の良さは分かりづらいのかなと思います。こういうある意味ニッチな製品は、ポータブルオーディオの経験値が高くなってくると、その良さが身に沁みてよく分かるようになりますが、逆に経験がまだそこまでではない方は、まずは大手で評判の良い製品でも充分じゃないかなと思います。そして徐々に音や音の仕組みが分かってきて、ようやく初めてこのような手作り製品の、味わい深さみたいなものが堪能できるのかなと思います。

TR17hpが完成品になったことで、個人的に今ポタアンが飽和状態になってしまいました。お気に入りのものが増えすぎて、嬉しい悲鳴なのですが、こうなるとリプレイスしたかった単体DAP(NW-WM1Z)の後継機種が決まりません。今回17hpに良質なBT機能が追加されたことにより、単体で外へ持ち出しができるようになりましたので、そうなりますと単体DAPの利点というか、メリットが薄れてしまいます。

実際これはメーカーの方からも、近い話をお聞きしたことがあるのですが、DAPはなにしろあのサイズに、DACもバランス端子もアナログアンプもBT機能も、その全てを詰め込む必要性があるゆえ、単純に音質だけでいえば、純粋なポタアンとは、そもそも比較すべき対象ではないということです。音質面と機能面の、そのどちらをも高レベルで同居させたものが単体DAPであり、それゆえに高価格になってしまいます。そうなりますと17hpは、コーデック(SBC・AACの二つだけ)の問題はあるにせよ、単体で楽しめるBTアンプに改良されたことで、こと音質だけであれば(トランスポーターを上手く活用できればというエクスキューズが付きますが)単体DAPのメリットを上回る可能性すら秘めています。実際手持ちのWM1Zであっても、もちろんハイエンド級の良い音ではあるものの、出力面や音の厚みみたいな部分は、明確な弱点だと感じています。そのため良質なアナアン等と比較してしまうと、その部分においては、不足感を感じてしまいます。

しかしここまで良い仕上がりなのは、改めて驚きです。日々の生活の中で、ちょっといい音で音楽を聴きたいなと思う場面で、17hpは対象外であったのですが、BTパネルが実装されたことにより、外でも中でも気軽に使えるようになりました。A2Pさんは、知名度という点においては正直そこまでですが、確かなその技術力をベースした音世界は、特別なものと言い切って良いかと思います。個人的にはコアな方だけでなく、マスに対してもっとこの素晴らしさが知られてほしいなとも思いますが、そうなると逆に、A2Pさん自身の(製造や開発等の)ペースが狂うということも予想されますので、微妙というか難しいところなのかもです?

# by olskooljam | 2026-04-03 10:41 | Audio

進化すると同時に失われていく芸術性について

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何年か前ですが、トムクルーズが24fpsの重要性について発言されたことがありましたよね。いわくTVのfps補完技術は、映画を観るのには適していないので、オフにして観てくださいみたいな。これは私も映画好きとしてずっと気にしていたことです。最近のモニターは補完技術が凄くて、ヌルヌル滑らかに動くため、映画を再生すると逆に違和感が出るんですよね。特にトムの映画なんかは、アクションシーンが多いので、そのようなモニターで観ると余計に違和感があります。

ではなぜ秒間60コマや120コマじゃなく、24コマなのか。色々な文献や記事で書かれていることですが、当初の映画は秒間16コマ撮影だったそうです。それではさすがにちらつきが大きいということで、次に24コマ撮影が開発され、ここでようやくちらつきを感じることが少なく、見やすいという評価が確立されたようです。これは人間の目と関係があるようで、少しコマ落ちするくらいの、あまり滑らかではない24コマの動きが、あの映画特有のモーションを生み出すというのはあるのかなと思います。逆に60コマまで増やすと、今度は(特に人物などの)動きが滑らかになりすぎてしまい、観ていてどういう訳か違和感を感じてしまいます(ただアニメやゲームなどでは、フレーム数が多いほうが良いと思います)。要するにコマ落ちが気にならず、かといって滑らかすぎずという、絶妙なコマ数なのでしょうね。

そこでこの黄金比の24コマという世界観について、それではどうしてどうしてこんなに観ていて心地良いのか、あるいはその世界に没頭しちゃうのかな?と考えることがあります。映画は長く観ているので、こちらが慣れていることも勿論理由の一つですが、もう少し何か理由がありそうな気もします。

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image of Modern Jazz (PIC: Modern Jazz Quartet)

ちょっとズレるのですが、それを音楽の世界におきかえて考えてみます。映画の黄金比24フレームというのは、ジャズでいえば50年代のモダンジャズ。ソウルでいえば60年代のディープソウルと、60年代後半から70年代前半にかけてのファンク。そしてヒップホップで考えれば、80年代後半から90年代中頃にかけての、いわゆるゴールデンエラと言われる、サンプリング主体で作られたブーンバップの全盛期。もしかして24fpsの黄金比というのは、これらに値するんじゃないかな?と思ってしまいます。

どのジャンルについても、今の技術からみると足りない部分が多く、今では古くなった音楽。ですが、それぞれその時代のその分野における先駆者たちが、皆が苦労し切磋琢磨して完成させた、偉大なフォーマット(ジャンル)でもあります。これらはその全てが24コマ同様の黄金比みたいなもので、今現在でも人を魅了してやみません。それぞれが特殊なといいますか、今でもジャンルごとの愛好家が増え続けていますし、どのジャンルを掘っても先人の凄さというか、その豊かなイマジネーションに圧倒されます。

例えばですが、今現在のR&Bや特にHIP-HOPは、世界中にも多くのファンがいます。きらびやかで派手な最新の電子音などがビンビン鳴り響き、特に後者なんかは世相などをリリック面でも強く反映させますので、世界的に人気が出るのは当然なのかなと思います。

そしてその中にいるライトユーザー方の中で、何割かの方がヘビーユーザーに変化していきます。そうなってくると、今度はそのルーツを辿る旅路が始まる訳です。そしてそれぞれのフリークが辿りつく境地が、MODERN JAZZ / DEEP SOUL / DEEP FUNK / BOOM BAP / ROOTS ROCK REGGAEなどであるということです。各々とてつもなく極められた様式美みたいなものがある為、もし今技術的に再現できたとしても、込められた熱量やその時代ならではアイデア、録音技術、機材の違い、アーティスト自体の時代ならではのスタイル。それらが強く盛り込まれており、どうしても同じものが再現できません。良い悪いではなくて、結局似て非なるものができあがってしまいます。SOULでも90年代に、(評判の悪いワードですが)ネオソウルが揺り戻しのように起きました。あれなどまさにあの時代の熱量と、そして魂を呼び戻すような再ブームでした。

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image of Deep Soul (PIC: James Phelps)

それぞれが完成され評価の定まった音楽であるがゆえ、没入感がハンパじゃありません。歴史を知れば知るほど、過去にこんな凄い音楽と音楽家が存在していたのか!と驚く場面もあるでしょう。

そしてもう一つ見逃せないのが、リアタイ(リアルタイム)ということです。上記の定着したフォーマットの中で、今の現役世代の方で、リアルタイムでその過程というか、その凄さを実際に身をもって体験しているのは、実は唯一ヒップホップだけなんじゃないのかなということなのです。1960年前後のモダンジャズをほぼリアタイで聴いていた方は、どんなに若くても現在80代以上。1970年前後のソウル、ファンクですと70代以上。これがヒップホップの黄金期となると、何とまだ40代から50代くらいの、まだまだ(けして若くはないですが..笑)まだ現役世代の方が、その一番熱かった凄かった時代を、全身に浴びるように体験しているという訳なのです。

このことは地味ですが実に凄いことです。例えばですが、雑誌やあるいはXでもいいですが、50年代などのジャズジャイアントについて、もう異常に詳しく知っているようなお方がたくさんおられます。そのような方は、実際80歳以上の高齢の方である訳はありません。皆さんそこに深い愛情や想いをそこに馳せながら、追体験にて語っておられます。しかしながらそれであれば、これから育ってくる若い聴き手の方でも、(もちろんいい意味で)現れてくる可能性はある訳です。いやむしろサブスクで旧譜も新譜も、ほぼほぼその全てが聴ける時代ですので、今後更に詳しい(いわゆる博士ちゃんみたいな)専門家が現れてくるのは、間違いないなと思っています。これからも若い聴き手が育つ土壌があるというのは、実に素晴らしいことなんじゃないかなと思います。


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image of 90s HipHop (PIC: Organized Konfution)

ところがヒップホップは違うんですよね。今のケンドリックやドレイク、あるいはKOHさんなどを聴いて、ヒップホップに目覚めた聴き手の方が、目にするゴールデンエラの話や記事については、その書き手の方は、(勿論全員の方がそうではありませんが)実際にその時代を過ごしてきた、完全なるリアタイの生き証人なのです。これは地味なのですが、やはりとんでもなく物凄いことです。何しろまだまだ目も耳も記憶もそこまで劣化しておらず?現在のシーンは当然のこと、過去一体どうやってここまでの、世界的な拡がりになったのかを、自分の目と耳で事細かく知っているのです。

例えばですがジュースクルーがどれだけ勢いがあったのかとか、マーリーマールがあの空気感の中で、どうやって復活したのかとか、PEやULTRAの関係性って実際どうだったのかとか、BDKってあんなに凄いのに、どうして失速したのかとか、あるいは2PACがデスロウと契約する前どうだったのかとか、Main SourceやOKが出てきた時のシーンって、一体どういう状況だったのか、NASやビギーがどういうキャリアを積んでデビューしてきたのかとか。悲劇的な結末を迎えた東西抗争って一体何だったのか、その当時の実際の雰囲気や、あるいはシーンの反応はどうだったのか等々。

そこら辺りをリアルタイムに体験し過ごしてきた方は、その説得力というか、皆さんヒップホップに関する知識量と、そして養ってきた耳の良さがもうハンパじゃありません(特にDJの方の皆さんなんかはマジで異常な耳の良さです)。こういう方のポストは見ていてすぐ分かります。元ネタに対するリスペクトについても、モダンジャズを愛する方などと同様に、深い愛情とそしてそこに、実際のリアタイでみてきた、本当のことを交えて語られるので、圧倒的でかつ説得力が違います。

モダンジャズがコアなジャズフリークの方に、今でもあの時代こそ本物と言われるように、ヒップホップも(少なくとも半ばくらいまでの)90年代は、メインストリームの一つがあのブーンバップであったという訳で、同様にコアなヘッズの皆さんには、あれこそが本物の時代と言われるに相応しいです。音もその表現も、今のシーンがどうこうということではなく、今とは完全に乖離していますが、あの時代の凄さとそして残された音源の凄さ。荒々しい打ち込みと選りすぐられたサンプリング。MCの卓越したライミングと、生活に密着し、世相を鋭く切り取るリリックの凄さ。これらが合わさり、まさに芸術的なまでに磨かれ昇華された音楽は、これからも時代を超えて語られ、そして聴かれていくのでしょう。

現在の音楽シーンについては、各ジャンルが成長し、そしてそれぞれの成熟した姿が聴けるのかと思います。しかしながら成熟と同時に、何か大切なものが失われていくような気がしないではないです。何もないところから、あるいは逆境から這い上がるために、音楽で生計を立てる。音楽そのものに強いメッセージを込める。そのようなバックグラウンドが感じられる音楽は、どのジャンルであっても何か強いんですよね。聴き手も強く感化されてしまいます。

私は日本に住んでおり、アメリカの社会システムの中で生活している訳ではないので、現地のことは深くは分かりません。ですので見方が違いますが、それでも社会情勢や音楽が、大きく変わってきていることは分かります。80年代にソウルを漁っていた時、60年代や70年代のそれとは全然違うことに、古くからのソウルファンは異議を唱える方がいました。今私がそれを実感しているというような感覚があります。

黄金期となれば、それはやはりそれぞれ過去のものが多いです。過去の膨大なカタログを調べるのは良いことですし、最高の趣味の一つかと思いますので、私もこれからも楽しみながら、もう少し?まだまだ?掘っていきたいなと思います。今現在の音楽についても、いずれ古くなって聴こえてくる時代が必ずやってきますが、ではそれらが50年代のモダンジャズや、あるいは90年代のヒップホップのように、黄金期と認定されるかといえば、それはちょっと違うような気がします。

少し前にXでみたのですが、おそらく90年代に撮影されたDavid Bowieのインタビューで、「もうこれからは時代を代表するスーパースターは出てこないと思う」と予想されていました。確かにその通りで、マイケルやプリンスのような、ジャンルを超越する圧倒的なスターは出てきていません。ディアンジェロは凄いですが、良い意味でブラックコミュニティーからは飛び出さないスターでした。現役のケンドリックの影響力は、マジでハンパないなと思いますが、では(黄金期を通過してきた)オールドヘッズまでもが、マイルスやプリンスのように、皆さん夢中になって追っかけているのかなといえば、それはまた何かちょっとだけ違うような気がします。そのような皆さんが選択してスピンするのは、そういうものだけじゃないんだよなーと感じています。





※ ※ ※

まとめ
はい、まとまっていません笑。ですがずっと書きかけのままであったこのエントリーは、今日どうしても上げないといけないなと、急に思い立ってしまいました。といいますのも、昨夜偶然とまではいいませんが、(日本を含む)90sヒップホップの中心にいたとんでもない方と、少しだけですがお話させていただける、貴重な機会がありました。その中で感じたのは、50年を超えてきた歴史の中で、黎明期を経て辿り着いた、まるで頂のような90sヒップホップの世界。(クリアランスの問題も含めて)今更戻れないのと同時に、メインストリームまで一介のシーンを持ち上げようとする、その若さと勢い。そして何より情熱のレベルが、芸術的なまでに桁違いであったんだなあということです。お話の中でそれを昨夜は強く強く感じ取りました。

モダンジャズもディープソウルも、そして件のヒップホップも、もうあの何もないようなところから、芸術を生み出すという、熱さと情熱みたいなものは、(時代背景も大きく違いますので)もしかして蘇ってこないのかもしれません。しかしながら、90年代は掘っても掘っても、お宝がザクザクと出てきます。そこを追及する時間は険しくもまた楽しくもある時間なんですよね。

もうゴールデンエラ通過世代は、今や老害一歩手前な(いや老害そのもの?)世代かもですが、新世代のラッパーやシンガー、あるいはビートメイカーが、とんでもなくフレッシュで、魅力ある新しい世代の音楽を生み出してくれることを期待したいです。そして古い世代がヒップホップ老人ホーム!で、ガンガン頭を揺らすような、揺り戻しを待ちたいなと思います笑。

# by olskooljam | 2026-03-21 12:32 | Hip-Hop

音源(メディア)の移り変わりとその魅力について

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Xで投稿を行うようになり早くも3年以上が経過し、最近月日の加速が爆速化しているので驚いています。私は本気でヤバい年齢になってきましたので、一体いつまでこのペースで生活できるんだろうなと、心配になっています。本職については有難いことに、今まで色々な大役をやらせていただいて、キャリア的にそろそろリタイアというか、荷を下ろし始めたという状況です。子どもの自立と共に、一体この先どう過ごしていくのが良いのかな、自然なのかなと日々自問しています。

ちょっとずれますが、コロナ禍の終盤も終盤の頃のことです。職場で定年を過ぎ週3で働いていた方が、突然退職と言われたことがありました。理由を聞きますと

「仕事には不満はない。定期収入があることもありがたい。しかしコロナが終わって、今ようやく趣味のバイクでの、ツーリングが出来る世の中になった。そこで以前から目標としていたバイクでの北海道一周。これを実現するためには、今のこのタイミングしかない。収入は止まるけれど、このタイミングを逸するともうできないんじゃないかな?と思っている」

この方は子育ても終わり、キャリアについても一線から一歩引いた状態。しかし身体はまだ動くし、バイクも運転できる。これが逆に70代になると、運転はおろか身体が万全である保証はどこにもない。そのような理由を述べられて前向きな退職となった訳です。

このことは個人的にとても印象的でした。誰もが必ずそのようなタイミングが訪れる訳で、その時に何をどう選択するのか?これは一例ですが、将来やっておきたいことを出来るタイミングというのは、そうそう何回もないのです。私は映画や音楽、オーディオ、車の運転等が趣味ですが、そういえば夫婦水入らずでの旅行もずいぶん長く行っていないですし、遠方にいる学生時代の友人にもなかなか会えていません。それを実現するタイミングって、え?今じゃないのかなとふと考えてしまいます。

テーマがずれましたので閑話休題。Xについてですが、有難いことに今はフォロワーの方も徐々に増えてきました。特に音楽についてのポストは、結構多くの方に楽しんでいただけているような印象です。映画についても音楽についても、どちらかと言えば古めのネタが多いのですが、元々私は超マイナーなブロガーですので、誰かがどこかで私のポストを見ていただけていることに、日々嬉しさを感じています。音楽ネタはたま~になのですが、稀に万バズすることもあってええ?って驚きます。逆に自身はといえば、今フォローしている方の数でほぼ限界に近く、全然フォローバックできていません。もうこれ以上多くのTLを見ることは、一日の流れの中で物理的に難しいなと感じています。これからXがどうなっていくのか分かりません。しかし情報ツールとしてはまだまだ有効だと感じていますので、当面Xは続けたいなと思っています。

さてそのような中で日々感じているのが、音楽のメディアの移り変わりについてです。私のTLを見ていますと、音楽好きな方がポストされるのは、ほとんどがレコードかCD。そこにサブスクとわずかにカセットが入ってくるような印象です。比率で言いますとレコードが5割。CDが3割。残りがサブスクやカセットというそのような感じです。レコードは本当に復活してきたなあというのが実感できているのですが、その原因については様々な因子があるんじゃないかなと思います。

携帯電話の発展
ヘッドホン・イヤホンブームの到来
YouTubeを含むサブスクの台頭と発展
CDの衰退
レコードの魅力再評価(③と密接な関係)

ざっとですが大きく分けて、上記の5点ほどで概ねの説明がつくのかな?と思います。①についてはさもありなんです。なんでもできるのと、情報がすぐに入手できるというのは本当大きいです。②については①の影響が大きい訳ですが、日本特有の住宅事情が影響していますよね。都会で家が密集していたり、マンション住まいだったりする場合は、やはり据え置きで大型SP!というのはあまり現実的ではありません。SPであればブックシェルフの小型SPや、パワードSPなどが中心になるのかなと思います。ヘッドホンとイヤホンについては、数年前からブームになっていて、聴けば驚くほど音の良い製品もあります。ですので音質にこだわるのも、一つの趣味としては楽しめるのかなと思います。イヤホンは私もハマっていますが、とても奥が深く、機種ごとに全く音が違うため、趣味としても有効かと思います。レコードやCDをヘッドホンやイヤホンで聴くというのは、いつの時代でもいいなと感じます。

③ですが、これが実はレコード復活の一番の要因じゃないのかなと思います。といいますのも、サブスクがなかった(あるいは一般的じゃなかった)時代は、認識として、今ほどはアナログ的な音は求められていなかったはずです。勿論古くからの音楽マニアにはずっと支持されてきている訳ですが、ここまで一般的に認識されてきたのは、どこでも聴けるサブスクが、今まで聴けなかった音源を簡単に聴けるようにしたこと。それとYoutubeなどで海外のマニアがレコードを購入するために、わざわざ東京や大阪などのレコ屋に来ているということ。そのような情報が誰にでも分かるようになってきたのは大きなと思います。

そのため古くからのレコード好きな方が、その情報を入手し、また探し始めたという面はあるのかなと思います。実際レコ屋に行くと、アナログを漁っている方(レコ屋にたむろしているのは私も含めオジサンばかりです笑)の比率がハンパないです。それとレコードが衰退した時代に生まれた世代が、レコードって一体なんなん?なんかジャケでかいし、聴くとエモいんだけど~みたいな感じで、興味を示してくれたのもあるんじゃないかと想像します。レコ屋での印象としては、CDよりもレコードをみているディガーは倍多い印象です。

④は実感としてそう感じています。利便性で負けて、また音質面では同等になったサブスクに、その地位を完全奪われた印象があります。実際私も最近までDLばかりでCDを購入をしなくなっていた時期がありました。聴ける音源の一番良い媒体を入手してみたい、入手できるという音楽好きならではの感覚。これは世界中共通なのかなと思います。レコード復権なるほどです。

そして⑤ですが、上記の①から④が連動し、魅力を再発見されたんじゃないかなと思います。私が音楽を聴き始めた頃は、まだまだアナログ全盛期。レコードと8トラ、カセット、そしてエアチェックがこの世の全てでした(CDやDAT、MDが登場してくるのはまだまだ先の話です)。いつでも良い音楽をできる限り良い音で楽しむために、レコードは常にピカピカに磨き上げ、まだ聴き過ぎると溝が減り、音質が劣化することを避ける目的もあり、カセットに落として日常聴き用として保存していたものです。友人が遊びに来た時はレコードを再生するのですが、どうしても皆でピョンピョン飛び跳ねるため、レコードの音が飛ぶというのもありました笑。

そのような状況が数年続いていた頃、いよいよ録音のデジタル化と、そして完全非接触の物理メディアCDが登場してくる訳です。これは今のサブスク全盛期のリスナーには、あまり感覚が伝わらないかもですが、メディアから一切のノイズ類(サーとかプチプチとかブッとか)が聴こえてこないというのは、当時本当に革命的な出来事でした。私なんかはレコードからカセットに録音する際、自身がノイズ源にならないように、録音中一切動かないようにしていたほど。とにかく出来る限り良い音で聴きたかったのと、その為にレコードが発するノイズを出来る限りない状態にしたかったので、CDはまさに夢のようなメディアだと感じていました。
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CDの出始めは、まだまだ今のように洗練されたものばかりではなかったのですが、それでもノイズのない音が聴けることで、「ああ今スタジオでミュージシャンが聴いている本物の音を感じているんだ!」と感動したものです。今のレコードブームは、主として支えているのは、当時レコードを聴いていた世代や、DJの方々じゃないかなと思いますが、若い方はサブスクでノイズレスな音が当たり前の世代。そのためレコードは初めて聴くと、あの(エモさに繋がるブチブチを含む)独特な音質や、またデカイジャケット等が、とても印象的なんじゃないかなと思います。ですので夢中になる要因が多く、今の令和で再ブームというのはよく分かります。特にジャズやHipHopのレコードって本当にカッコよくて、音もそうですが所有する喜びが大きいんですよね。CDもいいのですが、サイズ的なバランスでは所有満足度で大きく負けてしまいます。

私自身はレコードのノイズと格闘した歴史があり、正直言いますともう面倒な作法はしたくないなあと思っていましたが、Xでのポストを見るたび、やっぱりレコード最高!もう一度アナログにバックするのもありかな?と思っています。幸い空き部屋があるので、環境を構築することはできそうですが、本当にまた始めるかも?いやアナログをガッツリ聴ける環境を構築するそんな時間あるのかな?とも。ただレコードでしか聴けないあの音と、部屋中に拡がるような空気感はサイコーの一言なんですよね。

今度は逆にアーティストの側から考えれば、収入面としては上からライブ→グッズ販売→サブスク→LP→CD→カセットというような順でしょうか?いくらブームとはいえ、物理メディアのLPがバンバン売れるような状況ではないような気もしますので、そうなるとある程度捌ける枚数を限定プレスして、在庫を持たないような商売に徹する。というのが現実的で、あとはSpotifyなりYouTubeなりで聴いてくれという感じなのかなと思います。

それにしても、今後フィジカル(物理メディア)はどうなっていくのでしょうか。サブスクがこのまま制圧して圧勝するのか。あるいはレコードやCDだけではなく、VHSやDVD、BD、UHDなどの映像メディアも含めて、フィジカルのまさかの大逆転があるのかないのか。誰にも分かりませんが、ここ日本では少子化というのも影響してきており、若いディガーはもちろん大切ですが、しかし大人買いではないですが、高齢の購買力のあるディガーを完全に無視することは、マーケティング上できなくなってきているのもあるんじゃないかなと思います。

若いディガーについては、今後どれくらい育ってくるのか分かりませんが、都市部では専門店も多く、また圧倒的に情報量も物量も多いので、大いに成長が期待できます。地方ではたまにスゴいディガーが出てきますが、全体としては都市部ほどの数は期待できません。やはり情報量というか整った環境というのはとても重要ですので、日々の生活の中で、レコードやCDなどフィジカルに触れることができるというのは、何より大きなことかと実感しています。

そういえば先日Xのポストで、Nasの1st(アナログの原盤)がオークションで10万越えというのを目にしましたが、このニーズは完全にレコードバブルの時代に突入したなということを感じさせました。Nasのオリジ1stがまさかこんなに高騰するなんて、レコードは改めて世界的なブームになっているんだと思いました。逆にCDはといえば、今新譜は高いのですが、中古は底値に近い印象です。勿論レア盤市場はまだ生きてはいますが、かつての活況(約20~25年程前)と比べるととても寂しい状況です。

私はしばらくは(サブスクとCDの)二刀流でいきたいなと思っています。車の中で聴くのはサブスク主体で。カフェで聴くのはサブスクやハイレゾなどのファイル再生で。家でじっくりと聴くのはCDとハイレゾなどのファイル再生で。肝心のレコード蒐集については、まだ要検討ですが、状況次第になりそうです。復活できたらホント楽しいだろうなあ。老後の楽しみ?

# by olskooljam | 2026-03-06 12:58 | Audio

Night of The Juggler

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邦題「ジャグラー ニューヨーク24時」。1980年作品。

あらすじ
元警察官のトラック運転手ボイドは妻と別れて以来、ひとり娘のキャシーと2人で暮らしている。キャシーの誕生日、ボイドはバレエ公演のチケットをプレゼントし、学校へ行くキャシーをセントラルパークまで送る。いつも通りの平穏な1日が始まるはずだったが、突如としてキャシーが誘拐されてしまうことに…

※ ※ ※

昨年末ですが、ジャグラー ニューヨーク25時(1980年作品)を観てきました。この映画については、公開当時は見逃していましたし、その後のソフトについても、一回VHS化されただけという状況でした。当然私は初見なのですが、映画ファンでも、意外とまだ観たことがないという方が多いんじゃないでしょうか?

内容ですが、久しぶりに70年代の映画が持つ、あの独特なムードを堪能させてくれました。特にカーチェイス・シーンの描写は大迫力!出てくるNYの街並みと車も魅力的なんですよね。ホイールスピンさせて爆走するサマはこの手の映画のお手本です。
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James Brolin
主役ボイド役。今や息子さんのほうが有名になってしまいましたが、Jamesのほうは背も高くて、めちゃくちゃかっこいいんですよね。確か今も女王バーブラ・ストライザンドの旦那さんでもあるはずです。ここでの演技も自然で、熱血漢を上手く演じています。劇中ではとにかく走るシーンが多いのですが、構図も良く、観ていて全然飽きません。そういえば昔の刑事モノって、こうだったよなと記憶が蘇ってきました。

Dan Hedaya
ボイドに恨みを持つ刑事役。タイトロープやコマンドー、ユージュアル・サスペクツなど多くの映画で出演していますが、この映画が怪作?と言われるのはこの人が演じる刑事の、見事な切れっぷりも大きいです。ダン自身地元ブルックリン出身のためか、映画の持つイメージにも合っていますしね。しかし目つきがもう最高です。これは好演というより怪演?

お気に入りのシークエンス。やはり前半~中盤にかけてのカーチェイス・シーン。オーディオ的にはけしてハイファイではないのですが、バニシング・ポイント的なというか、グロリア風味というか。やはりこの時代のNY、ブロンクスの街並み。そこに何か変な爽快感があって、めちゃくちゃグッときます。こういう映画は、劇場の大画面で観るのが一番ですね。文句なしにサイコーの一本でした。これはぜひフィジカルでも所有したいな。国内版のUHDまたはBD化希望です!
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Directed by Robert Butler.

# by olskooljam | 2026-01-15 19:57 | Cinema

In den Gangen

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邦題「希望の灯り」。2018年ドイツ作品。

あらすじ
田舎町に建つ巨大スーパーで働く無口な青年は、年上の同僚女性に恋をする。そんな彼の周囲にいるちょっと風変わりだけど、心優しい従業員たち。穏やかに彼らを見守っていくのだが..

VOD(75-inch 4K Ultra HD Monitor + 5.1ch環境)にて鑑賞。

最近というか、もう最近はずっとなのですが、どの映画を観ても即視感みたいなものを感じてしまいます。映画っていいよな~と感じ始めてから、もうとんでもないほどの年月が経過しましたので、当たり前といえば当たり前なのかもしれません。同じく映画好きの長男からは「かわいそうに。もっと素直に楽しみなよ」と言われる始末。世も末です。

さてこの映画。特に大きな期待感はなく、またとても地味そうなテーマ。ですが、そういえばドイツ作品というのもあまり観ないし、たまには良いかもという程度の認識で観始めました。
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Franz Rogowski
主役の無口な青年クリスティアン役。役になりきりとてもリアル。風貌的にはなんとなくですが、ホアキン・フェニックスを思わせる部分も。ここ日本でも巨大スーパーが多くなり、多くの人が働いていますが、買い物途中にふとしたことで、職員の方の表情が気になることがあります。当然その方にも自分の生活パターンがある訳で、お互いに何気ないことであっても、人としての暖かみが感じられる対応って大事だよなと思います。ドイツの方って何となく落ち着いていて、どちらかというと勝手に寡黙な印象を受けていますが、役柄も相まって一層その印象が残りました。

Sandra Huller
主役が心を寄せるマリオン役。この女優さん最近では落下の解剖学にも出演していましたよね。いかにもドイツ人というか、大変聡明そうな顔つきですが、今回の役柄はちょっとというか、多分に陰影を感じさせるもの。実際にそこで働いている職員という雰囲気が充分に出ています。淡々と過ぎていく日常の中で、心を通い合わせる部分の描写。これが観客に伝わるように、地味ですがとても丁寧に演じているなと思いました。クスッと笑う表情が素晴らしい。良い配役ですね。

お気に入りのシークエンスは、ショッピングモールで働く職員の一連の描写。タバコ休憩や商品の陳列作業など。手慣れた様子をカメラの存在を意識させず、何とも淡々と映し出します。喜びとそして悲しみと。ドイツだけでなく、ここ日本でも地方では同じような状況があるのでしょうね。これが現実であり、今の現代社会なのかなという印象です。地味ですが観るべき価値のある一本です。

Directed by Thomas Stuber.

# by olskooljam | 2026-01-14 20:45 | Cinema