![]() Have A Good Time (2022) https://youtu.be/D8oPkNrv4NE?si=YmK03dEl0NTLPnzC Maxx2times。(おそらく)本名はMalcolm Simpson。どういう経歴か全く不明の唄い手で、Web上で調べても一切情報が出てこないのです。ソロでは現在までに、上記のデビューシングル?を含め、計3曲がリリースされているようです。この曲はチタリン臭が漂う、いわゆるステッパーズ系に属するミディアム・チューン。よく出来てはいますが、唄もメロディも正直特に大きな特徴まではなく、スルーされてしまっても仕方がない仕上がりの一曲かと思います。 ![]() Round 2 (2022) https://youtu.be/JbxxrmT2JKo?si=xltTiGLXMkkzZee2 2ndシングル。こちらはちょっと垢ぬけた感じの一曲で、アーバンR&B仕様のかなりイイ曲。少し鼻にかかりそして抜けていく、Malcolmの唄声の魅力が伝わってきます。ああこれはちょっとイイ唄い手だな..という印象。好みです。 ![]() https://youtu.be/AnkxiNwfB4g?si=-0ZmZMoCfPhajdTJ そしてこれです。今のところ最新の一曲となるのがこのスロウ・チューン。初めて知ったのが、Xで仲良くさせていただいているyours trulyさん(@yourstruly9392)のたった一回の呟きからでしたが、もう驚きの一言。え、まだこんなオーセンティックで味わい深く、そして一緒に泣いてくれるようなソウル・シンガーがいるんだ..というその事実。それにむちゃくちゃ感動しました。メロ、アレンジ、控えめなコーラス、そして素晴らしく張りのある艶ヴォイスと唄ゴコロ。特に後半、 No I Can't, No I Can't, No I Can't Lose You, No No No No.. という、アドリブで何度もリフレインしまくるところ。まるで感情が溢れてこちらにこぼれ落ちてくるかのよう!ゴス的な煽りに煽る感じが真に堪りません。私も長くマイナーソウルを聴いてきていますが、この曲に関しては言うことなし。唄モノでは今年一番感動した一曲であり、素直に100点満点をあげたくなります。yours trulyさんサイコー。 ※ ※ ※ そんな凄腕のMaxx2timesですが、あまりに好きなタイプですので、しつこく調べてみました。どうやらこのグループと関係しているようです。 ![]() ![]() それでこのグループの上げているYouTubeの映像なのですが、例えば 大ベテランらしきバリトンリードの方から、途中でマイクリレーされる、この小柄で華奢な印象の若者。この声、このゴス特有の煽りの上手さ。そしてまるであのGlenn Jonesのように、ホールに響く地声の良さと喉の強さ。これは.. この人物こそ、間違いなくMaxx2timesこと、Malcolm Simpsonその人でしょう。映像の最後辺りでは、大ベテランのメンバーに、ジュニア!と声を掛けられていることから、もしかしたらメンバー誰かのご子息?か親族なのかも知れません。他の映像では、キーボードを弾きながら唄っていることから、現在は正式なメンバーか、ソロ活動の合間に参加するパーマネントなメンバーの一人なのでしょう。 Malcomは結局今のところは、教会とそして世俗音楽という、音楽界の二刀流なのかもしれませんね。個人的にはこれだけの唄い手を、このまま知る人ぞ知る..というような位置に置いておくのは、ちょっと勿体ないくらいだなと感じます。良い環境、良いマテリアル、そして良いスタジオ。良いミュージシャン達と時間をかけて、セキュラーの本気の一枚というのを作らせてあげたいです。 今業界では、ソウル好きのSnoop Doggが、October Londonという、まるでMarvinの生き写しのようなシンガーをバックアップしています。確かにOctoberも相当ですが、Octoberに匹敵する才能を感じさせるこのMaxx2timesと名乗る若者。いつか大きく花が開くことを願って。 ※エキサイトブログではYouTubeリンクは一つしか貼ることができないようです。宜しければ曲はアドレスをコピペしてお聴きくださいませ。お手数かけてすいません。
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by olskooljam
| 2023-11-23 17:02
| Indie Soul
![]() 邦題「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」。2022年作品。 あらすじ 急速な進化によって人類から痛みの感覚が消えた近未来。あるアーティストは、進化した自らの身体を使う、極限のパフォーマンスで人気を博していた。一方、政府ではひそかにその暴走を警戒していた.. ※ ※ ※ 今回も珍しく上の子からどう?と誘われ、一緒に鑑賞。監督久々のSFホラーモノです。私は元々Dead Zone等でドハマりした世代ですので、新作が観れるなんて..と待っていたのですが、何とすっかり公開日を見逃していました。結果的に間に合い、この独特の世界観にまたまたハマってしまいました。 Viggo Mortensen 主人公ソール役。不気味で謎だらけの役柄ですが、このダークな世界観にピッタリとマッチ。しゃがれた声でボソボソ、ゴホゴホと喋るのですが、雰囲気最高。監督とは2回目の共演かな?これは彼がいなければ成り立たない映画なのかもしれません。カンペキな怪演。最近だと例のグリーンブックでの印象等が強いので、この180度違う役どころと、幅の広い演技力に脱帽させられました。 ところでもしもなのですが、もし何らかの理由で、今回Viggoが出演できなかったら、果たしてどうなっていたかを考えてみました。 Anthony Hopkins Jack Nicholson Christopher Walken Kevin Spacey Mads Mikkelsen Guy Pearce Michael Fassbender Joaquin Phoenix この難しい役どころを、Viggoと同レベル(もしくはそれ以上)で演じられるとしたら、上記した8名くらいでしょうか(サーアンソニーやニコルソン、ウォーケン等はさすがに年配すぎですけどもね)。で、もちろん、もしRutger Hauerが今も健在であれば、話は別です。狂気を演じ、それを観客に伝え、感じさせるのは難しいのです。 Léa Seydoux 外科医カプリース役。こちらも謎に満ちた役ですが、なかなかの体当たり演技っぷり。若い時から非の打ち所がない美貌の持ち主ですが、ここでの演技については、過不足ナシ。観る前は、まあ彼女では監督独特の変態性に、ついていけないのだろうなと勘ぐっていましたが、イヤイヤしっかりとついていけています。年齢と経験が上手く合ってきたのでしょうかね。下から覗き込むような目線というか、鋭い視線がなかなか素晴らしい。 好きなシークエンス やはりショーの場面でしょうか。特に伝説の..と呼ばれる〇〇が登場する最初のシークエンス。Howard Shoreの低音の効いた不気味なスコア(相変わらずマエストロ。素晴らしいの一言!)も相まって、観客に今我々は、確かにとんでもないモノを見せられているんだと、(いい意味で)最高にどん底の気分にさせられます。この監督は、いちいち出てくる道具の造形美が独特なんですよね。こういう世界観を造らせたら、いまだにRidley Scottと、そしてこのDavid Cronenbergの2名が双璧かと思います。 ※ ※ ※ さて、この映画の最大の謎について。冒頭に出てくる少年の謎と主人公の「あの後」ですが、解釈は色々あっていいのでしょうね。何しろ近未来のお話の訳ですから。見た目と見えているモノだけで、その全てを判断する訳にはいかない、というのが私の意見です。常識だけでは理解できない、してはいけない映画。気持ち悪いとか、生理的に受け付けないとかを超えた、その先にある何か。それがいつもこの監督が描くテーマなのです。 今回一緒に行った上の子は「お父さんオレも色々言われて数々の名作観てきたけど、こういう映画を撮る監督っているんだね。いやあちょっと衝撃的だった。すごいわ..」という感想でした。うんうん、しめしめ。あ?The Flyなんかは随分前に見せたはずなんだけどな.. Directed By David Cronenberg. #
by olskooljam
| 2023-10-01 16:45
| Cinema
![]() 据え置きヘッドフォンアンプの世界。これもまたも一つの沼ですよね。この分野については、最近のイヤホンやIEMと違い、意外とその歴史が深く、今のようにスピーカーとヘッドフォンの比率が逆転?する以前より文化として存在していました。ざっとですが半世紀近くの歴史があり、コンデンサ型のSTAXなんかは既に1960年代から製造されていたはずです。 ここ最近、といってももう5年以上ですが、私は書斎用(デスクトップ)の据え置きでは、Sony CAS-1を使用しています。ご存知の通りCAS-1は、どちらかというとアンプというよりも、スピーカーの仕上がりが素晴らしく、デスクトップで使用するには、鉄板ともいえる地位を確保している製品というのが一般的な評価かと思います。CAS-1のスピーカーでお気に入りのSoulやJazzを再生すると、スピーカーからフワっと音が消えて、ちょうどPCの画面中央から音が出てくるような定位の良さがあります。これは実際に聴いてみないと理解できないのですが、とても自然な音場です。目の前にポッカリと小さな楽団が表れるようなイメージ。聴いていて物凄く多幸感があり、心底リラックスできます(安い耳なのです)。 ところがこのCAS-1。実はヘッドフォンアンプ部についても意外としっかり作られており、なんとスピーカー基板とは全て別の、完全なディスクリート基板で構成されています。中身についても驚くほど品質の高いパーツ群が奢られており、設計当初からスピーカーはもちろんメインですが、ヘッドホン・リスニングにおいても、オーディオファイルの方が聴いてもある程度満足されるような造りになっています。 ちなみにこれの中身については、ポタアン往年の名機PHA-2と同様のパーツをブラッシュアップして搭載されており、DACについては定評あるBurr-BrownのPCM1795を採用。電源についてはノイズ対策済みのAC電源が強力で、PHA-2と比べると低域の土台、安定感みたいなものに更に力感が感じられるようになっています。 普段私はHD650やPinnacle P1等を組み合わせて聴いていますが、その音は自然でまろやか。何も足さず何も引かないというソースに忠実でオーソドクスな、落ち着いた出音という印象です。ソニーらしいというか、いわゆるドンシャリ様な派手さみたいなものはそこにありません。個人的に好みの音というのが、地味目で落ち着いた、少しだけ暗めのプレゼンテーションを持つモノということもあり、その類に当てはまるCAS-1のヘッドホンアンプ部はお気に入りです。 そのような訳でCAS-1は既に数年使用しており、正直音質にはそこまで不満はないといいますか、充分満足しているのですが、やはり長く使っていると味変みたいなものを求めたくなってきました。そこで入手したのがこちらです。 ![]() 通称「魔法の小箱」。英国はCreek Audio社のOBH-21です。1stロットの発売はもう10数年前の製品ですので、新陳代謝の早いこの業界においては、既にヴィンテージといっても良いお品だと思います。当時はまだ少なかった国内外のヘッドホンマニアの間では、OBHシリーズは小型ながら、通称が付くことから分かるように、ちょっと他とは違う特別な音を出すアンプの一つとして評価されていたようです。特に前機種のOBH-11のSE版は、高品質なパーツが奢られた完全ディスクリート式のアンプで、めちゃくちゃ評価の高い一台。続くこのOBH-21シリーズは、OBH-11SEとは違いオペアンプ組み込みですので、ディスクリート方式ではないものの、その評価はやはり高く不変。最終進化版ではOBH-21mk2というのがあるのですが、このようにOBHシリーズは、ヘッドホンアンプをよく知る耳の肥えたマニアに確固たる地位を築いていたようです。 今回私が手に入れたのは、マニアの方により既に徹底的にモディファイされていたモノ。オペアンプ(BBのOPA627BPx2に換装済み)もコンデンサも全て入れ替えて、更に基板全体に追いハンダが追加され、チューニングされたものでした。そのような訳で、音的にOBH-21オリジナルの音質が、一体どのようなものかまでは分からないというのが本当のところです。スペック的には300mW(@300Ω)と、かなりの出力がありますので、ゼンハイザー等、高インピーダンスのヘッドホン向けの仕様といえます。このOBH-21が当初リリースされた時代的には、まだまだ低インピーダンスのIEM等は一般的ではなかったため、さすがにイヤホン類は使用が想定されていなかったのだと思われます。 ![]() これに合わせるDACですが、音質的に好みのBurr-Brown PCM1794Aを搭載したFX-Audio DAC-SQ5J(レア構成の初代)を選択。見た目とサイズ的にも、これがOBH-21とちょうど合うんですよね。何かと場所を占領するデスクトップでは、このミニミニサイズが本当に助かります。余談ですが、このDACについては個人的にめちゃくちゃ気に入っており、実は某チューンアップ専門店様に、更なる音質向上を目指して改造をお願いしたことがあります。ところが専門店様からは基板パーツをよく吟味した上で、これはこれでもう良く出来ているので、これ以上変える必要はないですよと言われてしまいました(嬉しいような、嬉しくないような?)。実際にコンパクトな造りながら、搭載されたBurr-Brown PCM1794Aの魅力を存分に堪能できる機器で、BB好きには堪らない一台です(SQ5Jは長く品切れが続いており、つい最近新型(DAC-SQ5J+)がリリースされました)。 ※ ※ ※ 閑話休題。本題のOBH-21の音質について。これがまた表現が難しいのですが、音楽的なニュアンスが絶妙。明るい・暗いでいえばちょうどその中間から暗めよりです。帯域別の印象ですと、トランジスタアンプなのに、少し真空管的な潤いを帯びたような中高域。そして重みと切れが両立した中低域。自然に伸びて刺さらない高音。音場は広すぎず狭すぎずで、ちょうど良い塩梅です。全体的にあまり主張してこないというか、背景が黒く、また誇張のようなものも無く。音楽そのものを極めて自然に奏でてくれます。 手持ちのHD650の音なんかは、もう相当な時間聴いてきていますが、OBH-21との組み合わせは、いやコレこんな相性の良い組み合わせがまだあったのか!と驚かされるほどです。開放型のヘッドホンは、見晴らしのよさが一つの売りですが、まさに抜けるような、立体感が半端ない音です。生々しく定位の極まったスピーカーで聴くような感覚です。 IEMではP1との組み合わせも魅力的です。HD650ほどではありませんが、ふくよかで芳醇。コクがあって立体感も充分。CAS-1と比較すると特に中音域の表現に差があり、OBH-21のほうが(比較すれば)ややブライト。ブライトなのですが全くクドさはなく、表現としては極めて自然な音場が形成。人工的な感じが一切ありません。この辺はオペアンプが選別されたBB(OPA627BPx2)に変更してあることも影響があるのかもしれません。いつまでも聴いていられるような、ウットリするような音が出てきます。CAS-1とP1の組み合わせもイイのですが、ステージを彷彿させるような、生々しいこちらの組み合わせに軍配を上げたくなります。 ![]() Samara Joyの新作。ジャス界では久々に出た桁違いにスケールの大きいヴォーカリスト。1stも良かったですが、2ndも着実にキャリアアップしてきました。落ち着いた唄いっぷりはとても20代前半とは思えません。OBH-21で聴くSamaraの唄声は、中心となる太いテナーの魅力全開。背景が黒く、ステージの中央にぽっかりと浮かび上がるようなヴォーカル。音の表現とすれば確かに少し暗めではあるのですが、このプレゼンテーションが私の好みに合っています。基本的に今時のハイレゾ感を全面に出したクッキリハッキリとした音作りは、どちらかというと苦手なのもあるのかもしれません。 OBH-21はオールジャンルいけるとは思いませんが、この若干陰影を感じさせる部分を残した音作りが、なんとも味わい深いです。バッキングはPasquale Grassoのギターが中心ですが、味わいはメロウな中に芯が感じられ、なんてイイ音なんだと感じると同時に、唄の表現とその世界観に魅了されてしまいます。こんな古い、しかも手に乗るような小さなアンプが描き出すスケールの大きさに、改めて驚かされるばかりです。 ※ ※ ※ ポータブルオーディオの世界は日進月歩。最近ではCayinさんから、N30LEという弩級のDAPがリリースされました。運よく発売直前に試聴させていただきましたが、中低域の安定感がまるで据え置きというか、もうほぼ据え置きのような、今までのDAPの次元を超えてきたかような出音でした。群雄割拠なDAPの世界は、まだまだ進化の余地があるなと感じさせられました。 据え置きヘッドホンアンプの世界は、そのDAPと比べるとよりマニアックであり、マスレベルでの認識となるには、まだまだこれからという分野なのかもしれません。勿論オーディオファイルの方にとっては、そんなの当たり前の世界な訳ですが、ヘッドホンアンプというワード自体が、一般の方にとってはマニアックだと思われます。但し今では徐々に認知度とその市場性が大きくなってきており、製品数も増え伸びてくるのかなと感じています。 このOBHシリーズは、ロット数的に日本ではあまり出回っていないアンプですが、見かけたらぜひ一度聴いてもらいたい一台です。その大きさ(小型さ)ゆえ、出てくる音のスケールの大きさとのギャップに驚かれるはずです。蓋を開けると中身がギッシリ詰まっているという訳ではなく、想像以上にパーツが少ないです。それを踏まえまして、英国メーカーの中の人の耳が如何に優れているのかという事実と、最終的な音決めされるエンジニアの方の見地、見識に改めて脱帽することは間違いないと思います。
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by olskooljam
| 2023-09-22 19:07
| Audio
![]() FiiO Q5s with AM2A (AM1Mod) しかしながら聴き込むうちに、中高域に何かギラっとするような成分を感じるようになりはじめました。音全体にちょっと落ち着きがないというか、若干腰高な感じで、他の(古めの)ポタアンで聴ける穏やかな音とは違い、聴けば聴くほど今度は違和感を感じるように。AM3Dの音は例えるならば、本来の録音成分だけでなく、まるで古い録音が現代的な録音作品にリマスターされたような感じなのです。もちろんそれはそれで個性的ですし、フレッシュな感覚はあるものの、聴いていて飽きてくるというか、何かこう深みに欠けるような感じが出てきました。 ![]() そこで長く気になっていたモジュールで、マニア筋から評判の良いAM2Aを追加導入。これは元々メーカーのラインナップに予定されていたモノではありません。なんでも海外のあるマニアが既存のモジュールを活用し、もっと音質をよくしたい!ということで、AM1MODという名称を付けて、勝手にカスタマイズされたものがベースになっています。このAM1MODは音にシビアなマニアにあまりにも評判が良く、FiiO自身がその噂を聞きつけることに。そうかそんなに評判がいいのならば、よし正式に作ろうじゃないかという、FiiO社のとんでもなくフットワークの軽い部分からラインナップに追加されたものです(著名レビュアーが音作りに参加した経緯とか、こういう類の逸話は結構好きです)。 ![]() メインとなる仕様はオペアンプがAD8620で、バッファ段にはAD8397ARDZが使われています。AD社の8620はOPA627などと比べるとちょい地味な存在?ですが、昔からずっと評価が高いんですよね。 音質について。AM2Aは他のモジュールと系統が違うというか、いわゆるFiiO的な?音作りとはまるで違う感じです。透明感はAM3Dよりあり、逆に出力についてはさすがにAM5よりは少ないものの、余力は充分。16~50Ω程度であれば全く苦にせず問題ありません。傾向としては繊細な音で且つ中高域がとても伸びやか。この中高域に程よく艶と潤いを感じさせる音は、Soul系の唄モノや古いJazzを中心に聴く私にとって、とてものことに魅力的です。低域についてはタイトでキレを感じさせるもの。ドンドン、ドスンドスンといった表現の量感ではなく、上手く言えませんが、トントン、ビシバシと表現できるような感覚です。全くヘビー級などではありませんが、個人的には低音に不足感はありません。 ![]() After 7の名リードKevonがMazeの世界に溶け込んだ最高の一曲。確かな演奏と、Babyface以上にDavid Fosterを魅了した特別なシンガーKevonの魅力が全開。AM2AとPinnacle P1の組み合わせで聴けば、一つ一つのフレーズの確かさと、寄り添うような最高のバッキングが光り輝いて聴こえてきます。オーソドックスながら奥深いソウル・ミュージックの魅力が表現され、時間を忘れてうっとりと聴き惚れてしまいます。 ![]() 御大の傑作アルバムからこの曲を。トラッドですが、ピアノ一本だけでここまで情景を表現できるのは、やはりKeithならでは。AM2AとT8iE(初代)の組み合わせで聴けば、涙が流れるようなメロディーというか、一音一音の隙間に独特の陰影をより感じさせ、じっと目を閉じて聴いてしまいます。T8iEもP1同様の1DDですが、強弱を付けたKeithのタッチが聴き手の心にしっかりと伝わってきて、音の過不足を全く感じさせません。 ![]() 全体的な印象としては、例えるならば蒸留水。岩清水。中高域が充実した、クリ-ンで且つとても自然な音。解像度という点からも不足感はありません。単体DAPで言えば、古いものではPlenue S、新しいものではSE180(SEM4)などと同系統で括れるかと思います。 ヘッドホンでは高インピーダンスのHD 650(300Ω)でも鳴らすことができますが、さすがにそこまでのパワー感はありません。逆に中インピーダンスのP1やKlipsch X10(共に50Ω)。この二機種等ならばちょうど良い塩梅。ピッタリというか、高音から低音までシックリ感が半端ないです。特にざわざわ感のあるカフェなどでリスニングしていると、こんな場所でこんな美しい音を聴けるなんて、なんて凄いことなんだろう..と聴くたびに感動してしまいます。3.5mmが1系統しかない、小さな小さなモジュールなのですが、この美音で満たされた世界観は素晴らしいの一言です。 ※ ※ ※ 結局このAM2Aを入手してからは、それまで気に入っていたAM3Dを手放してしまいました。AM3Dも確かによく出来たモジュールでしたが、AM2Aと比べてしまうと、やはり分が悪いです。ハイフィデリティー志向といいますか、所謂FiiO的な音作りの範疇であるAM3Dに対し、ポータブルオーディオを知り尽くし、概念にとらわれず音の良し悪しのみを聴き分けていくマニア中のマニアが、元の音を考案したAM2A(AM1MOD)については、異端ですがある意味別格のモジュールかと思います。発売された時期的には、本来DAPのX7に合わせて使うことを想定されたものなのかもしれませんが、かつてのフラグシップである(音質全振り仕様でX7を超えていくポータブルアンプの)Q5sとの組み合わせは、意外ですが至高かと感じています。旭化成AK4493DAC搭載のQ5sは素性が良く、ほとんど想定がされていなかったAM2Aとの合体で更なる本領を発揮。最近メインで使用している弩級DAPのWM1Zと比較したとしても、ああ今日はこちらで聴きたいなあと思わせることができる魅力を秘めています。 ![]() おそらく今では、完全ディスコン同士であるQ5s+AM2Aで使っている方などは、ほとんどいないかと思いますが、これは見た目以上に侮れないシステムです。ポータブルオーディオの音作りについては古い、新しい、また若い方向け、ベテランの方向けといったものがあるかと思いますので一概には言えませんが、この美音で満たされた世界は、誰が聴いても違いを感じていただけるのではないかと思います。SoulやJazzを聴く方には特に合うかと思います。チャンスがあれば、(特にAM3Dオーナーの方には)ぜひ一度試していただきたい組み合わせの一つです。 試聴環境: iPhone SE3 or JRMC - FiiO Q5s - AM2A - Mee Audio Pinnacle P1 iPhone SE3 or JRMC - FiiO Q5s - AM2A - Astell&Kern AK T8iE iPhone SE3 or JRMC - FiiO Q5s - AM2A - Klipsch X10 mmcx Mod iPhone SE3 or JRMC - FiiO Q5s - AM2A - HD 650
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by olskooljam
| 2023-02-18 16:05
| Audio
![]() あらすじ 時は1923年、アイルランドの孤島であるイニシェリン島。本土では内戦が治まらない中、孤島で静かに暮らす心優しい男パードリックと、音楽家のコルムの二人は、長年に渡って友情を育んできた。ところがある日、パードリックはコルムから、なぜか一方的な絶縁宣言を出されてしまう.. ※ ※ ※ 珍しく上の子より「一緒にどう?」と誘われ、公開初日に鑑賞。最近は音楽を聴くことにとても忙しく?、この作品についての予備知識は全くありませんでした。しかしながらこの題名を聞いた瞬間。ビビビっと、映画好きの何かが反応してしまいました。そこからすこしだけ調べながら観てきたのですが、なるほどあのスリー・ビルボードの監督..。正直予想以上の作品でした。 Colin Farrell 主役パードリック役。この人の作品はいくつか観てきていますが、ここではしっかりと純朴な男性役になりきっています。元々は相当なイケメンなのに、それを微塵とも感じさせない徹底した演技ぶり。孤島とはいえ、セリフも英国らしい格調の高さを感じさせるモノばかりですが、そもそもColin Farrellはアイルランド出身。ですので当たり前ですが、違和感はゼロ。長く島に住む役どころを完璧なまでに演じています。衣装も地味目でヨレヨレなのですが、らしく着こなす様はお見事の一言。監督からすれば、この役についてはColin以外はいないというか、Colinありきで書いた?ような感じです。 Brendan Gleeson 音楽家のコルム役。恥ずかしながら、私個人はあまり注目したことのなかった俳優さん。ですが、この方が凄かった!理不尽なまでの立ち位置というか、頑固一徹で且つ威厳を感じさせるという、大変に難しい役どころ。当然ですが、セリフも少なくなる訳で、立ち振る舞いとその表情だけで、内面の全てを感じさせなければいけません。これは相当なまでの演技力が求められるモノで、演劇出身のBrendan Gleesonだとピッタリということなのでしょう。眉間のシワだけで何かを語るような貫禄。この方あのA.I.や、MI2にも出演していたらしいので、今一度再見してみたいなと思います。あああ~ってなるだろうなあ。全ての演技がワンダフル、素晴らしい! 好きなシークエンス 美しい(実在しない架空の)イニシェリン島。この孤島の景色と海。ゆっくりと時間が流れていく。しかし島やパブで起きていることは、ある意味生産性のないことばかり。この対比と構図。どの場面でもなく、実はこのことが全編この映画の主役なのだと思います。Carter Burwellによる美しく、そして物悲しいスコアもとてもイイ。 さて、この映画の最大の謎というかテーマ。仲が良かった2人というか、コルムはいったいなぜ一方的に絶縁をしたのか?。どのコラムをみても、まだ完全に結論じみたものは何も書かれておらず、この部分は謎に満ちています。個人的にはこれはこうだという見解がありまして、珍しく一緒に観た子どもたちも、今回だけは?本当に珍しく賛同してくれたので書きたいところなのですが、このブログは基本ネタバレは一切なし。それだけはずっと徹底してきましたので、やはり初志貫徹。それを踏襲して自重いたします。 結局は観る人それぞれの考えで良いかと思いますし、制作した監督自身もそれに委ねているのかもしれません。最後にこの深イイ映画。特に年配の映画ファンの方には、オススメの一本。 Directed by Martin McDonagh. #
by olskooljam
| 2023-01-29 22:03
| Cinema
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