増田俊也先生が、北大柔道部のHPに寄稿した記事「VTJ前夜の中井祐樹」を初めて読んだ時、年甲斐もなく胸が熱くなったのを覚えています。
第一回VTJについて改めて振り返りますと、全ての謎が解明した瞬間と言いますか、私自身がある意味で心の拠り所にしていた大好きなプロレス(=70~80年代前半の新日本)の価値観が、崩壊しはじめた瞬間でもありました。
中井祐樹選手については、当時シュートの若手選手という認識しかなく、私的にはむしろ、前田選手の愛弟子リングスの山本選手があのヒクソン・グレイシー選手と一体どう戦うのかという、その一点に注目していました。
※ ※ ※
結果。ガチンコ、真剣勝負という本当の本物の格闘技の結果というものは、ここまで残酷なものなのだということを、真に理解するのには充分なものでした。私の中にあった、プロレス最強幻想がガタガタと音を立てて崩れていった瞬間。
同時に無知ゆえに全く注目していなかった中井選手の、まさにありえないほど鍛え抜かれた強靭な肉体と技、そして何よりけして折れないその強い心に、畏敬の念を抱かざるをえませんでした。
この本は、過去の記事に大幅に加筆されたノンフィクション作品。敗れざる者たちへの鎮魂歌、ですか。素晴らしいキャッチ・コピーです。これは年末、またまた夜更かしの日々が続きそうな予感。